元プロレスラーで66歳の谷津嘉章が男子フリースタイル125キロ級の2回戦に登場した。糖尿病の悪化から4年前に右膝下を切断しており、障がいのある選手が健常者の大会に出場するのは極めて異例の挑戦となった。

初戦となった準々決勝で同じく日本障がい者レスリング連盟所属の釼持洋祐と対戦。左膝を立てて構えながら、相手に向き合った。立ち姿勢から攻めてくる相手に果敢に抵抗しながら、第1ピリオド残り41秒で0-10のテクニカルフォール負けをするまで、全力で戦い抜いた。試合後は松葉づえを支えにし、勝ち名乗りを受けた釼持と握手をかわすと、会場には大きな拍手が起きた。

谷津は76年モントリオール五輪に出場し、日本がボイコットした80年モスクワ五輪も代表に選ばれていた。今春に日本障がい者レスリング連盟を立ち上げ、普及の一環として出場を決断。「多くの方に見ていただいて啓発につながればいい。出るからには勝ちたい」と期していた。